『風の旅人』はとてもいい雑誌だ。作家の田口ランディさんのご紹介で、編集長の佐伯剛さんと先週一緒にランチする機会に恵まれた。佐伯さんは若いころパリを2年も放浪してずいぶん見聞を広められたそうで、大変興味いお話を伺えた。最新号のテーマは「時の肖像」と題し、素晴らしい写真の数々が掲載されている。巻頭のメッセージが素晴らしく、物事の真理を見事に表現していると思うので、一部、以下に引用させてもらいました。
<時の肖像>
人間社会は、“時”を標準化するために時計を使用するが、人生という“時”は、人それぞれの記憶で計るしかない。人は、自分の理解を超えた異質なものと深く関るたびに、自分の時と世界を広げ、変化していく。その変化の一つ一つを、人は、自分の経験として記憶できる。
人は、時計や自分の経験で計れない“時”があることも知っている。樹木の年輪や、地層や、皺を通じて、人は、そこに到るまでの変化や、関係や、未来を察し、時全体を、重層的な一枚の画としてイメージすることができる。人は、そのイメージを、世界のリアリティとして記憶できる。
世界の各部分は、どれ一つ単独ではなく、存在のための仕組みを他から受け継ぎ、他に引継ぎながら、過去と現在と未来に跨って存在している。人は、そのように連続と連結によって世界が構築されていると認識し、全体の一部といて自分の活動を位置づけ、記憶できる。
時は、部分と全体に跨り、過去と現在と未来に跨っている。この世の物事は、何一つ単独に存在せず、一方から他方へと跨る“時”とともに存在しており、異質なものとの相互作用で変化していくことが定められている。
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